Hanayume(ハナユメ)を運営するエイチームライフデザイン(名古屋市中村区)は5月1日、熊本や大分、山口など、これまでカバーしていなかった西日本エリア5県でのサービス提供を開始した。さらに7月には山梨、富山、石川をはじめとする北陸・甲信越6県でも事業をスタート。エリア拡大に至った背景、今後の事業展開など、今春からブライダル事業部部長に就任した千田光貴氏と、ブライダル企画営業第一グループマネージャー・櫻本雄也氏に聞いた。
20代での事業部長抜擢
――20代の若きリーダーとして3 月、事業部長に就任しました。これまでのキャリアは。
千田「2019年に新卒でエイチームに入社し、金融系サービスに配属。その年の12月にブライダル事業部に異動し、広報業務などを担当しました。その後再度部署が変わり、採用などを経て、今春からブライダルに戻ってきた流れです。採用担当以前には、女性向け体調管理アプリの事業責任者を務めていたこともあり、その経験も買われて現職となりました。」
―― 5 月から、西日本エリアのうち、これまで展開していなかった5 県でのサービスをスタート。7 月には北陸・甲信越でもエリアを拡大しました。この背景は。
千田「アドバイザーの在籍する相談デスクは、今夏時点で新宿、横浜、名古屋、大阪、神戸の5 ヵ所。他エリアにデスクを構えていた時期もありましたが、コロナを機に出店地を一度見直しました。例えば、福岡や仙台など現在デスクはないものの、メディアとして式場紹介・送客は展開しています。」
櫻本「春以降続けてのサービスエリア拡大発表となりましたが、2020年以前には中国・四国地方の開拓を進めており、東北も宮城と福島でのサービス開始に着手。そのタイミングでコロナとなり、ストップせざるを得なかった他エリアの計画を、ようやく今、再スタートできたという流れです。ハナユメでは『一組でも多くのカップルに、“理想の結婚式”のきっかけを』をミッションに掲げています。この想いをベースにした際、エリアの拡大というのは重要施策の1つ。サイトから直接式場予約を入れられるのはもちろん、Zoomなどを使ったオンライン接客、LINEでの相談チャネルも設けていますから、デスクのないエリアでも、当社サービスを案内していきます。実際に式場、特に地方からは、『マーケットリーダーが強すぎて、中堅以下の式場の集客状況はかなり厳しい』という声も聞かれています。ハナユメに関しては出稿固定費ではなく来館ベースの成果型ですので、初期費用を抑えたい式場などにとっては利用しやすいサービスかと。今後どう事業を展開していくかの経営判断を迫られる施設もある中、婚礼集客の主要メディアの1 つとして、今こそ地方にも目を向けたい。掲載式場数が順調に増えている県がある一方、提案をさらに強化すべきエリアもありますから、案内を強めて各施設の集客を支援していければと思います。」
特典見直しから見えたこと
――インスタをはじめとしたSNSでのPRなども含め、式場にとって宣伝広告費は上昇傾向にあります。自社集客を強化する流れも見られている一方、マーケティングに長けているスタッフがいないというケースも。ハナユメの考える、メディアの立ち位置とは。
千田「『この式場で絶対に挙げたい』というカップルを除いて、大半の場合はメディアを通過し式場を比較・検討。そうした中で今春試験的に実施したのは、当社以外の婚礼集客の主要メディアと連携を図ったうえでの来館特典の一斉見直しです。これまでは来館時点で渡していた特典を、成約まで至ったタイミングでプレゼントする流れに変更。その結果、当社を含む全媒体で送客数は減少、メディア経由の成約組数もそれに伴い伸び悩みとなりました。この試験的な動きから改めて見えてきたのは、結婚式実施に対する“体温の低い”カップルを集められるのは、メディアの強みということ。サイトだけでも見てみよう、アドバイザーもいるから話を聞いておこう、特典もあるからとりあえず見に行ってから決めようという、悩むカップルの背中を押せる可能性を、メディアは持っているわけです。一見、特典目当てに思われがちだった来館の中にも、『とりあえず見学に来たけれど、やっぱり結婚式っていいかも』と思ってもらえるケースは一定あります。ハナユメに限らず婚礼の集客媒体として、そうした声を増やしていくのは、メディアだからできることだと感じています。」
――今後の展開は。
千田「東名阪在住の結婚式検討層男女に向けたアンケートでは、『結婚式場探しで知っているサービスはあるか』の問いに対する純粋想起において、コロナ前対比で5 ~15%低下する傾向が当社を含め各媒体にも見られました。ここに関しては、Webプロモーションなどの強化から露出を増やし、認知度を上げていければと思います。また、今年の春に実施した新たな取り組みとして、都内のシェアオフィス・会議室をレンタルし、当社アドバイザーがその場でカップルを接客する動きをスタートしました。一定の来客数にもなりましたから、デスクを展開していないエリアにおいては、同じような形態でカップルとのタッチポイント創出も検討していきたい。アドバイザーが介在し式場探しをサポートする接客と“非接客”では、成約率で2 ~ 3 倍の差が出ることもあります。Zoomなどを使ったオンライン接客も含め接客機会をより増やし、掲載式場にしっかりと還元していきたいとの想いです。」
(詳細はブライダル産業新聞紙面にて、10月1日号)